読書日記 2023年7月17日

田村麻美さんの『ブスのマーケティング戦略』という本を読んでみた。

本書は、2018年に発売された本なので少し前の本になる。人から勧められて文庫本で購入した。最近はもっぱら自分で選書して本を買うことが楽しみなので、人からお勧めされて本を買うこと自体が久々である。

内容は、ブスであることに小学生まで気づかなかった著者が、その事実に気づき、ブスである事実を受け止めて、起業・結婚にたどり着くまでの半生に迫ったものだ。
タイトルに「マーケティング戦略」とあるように、見た目のコンプレックスをマーケティング理論に落とし込み、逆に強みに変えることで、著者は人生において数々のことを成し遂げることに成功している。
たとえば、結婚というゴールを掴むのに、商品(著者)とニーズ(彼の求めるもの)の関係を持ち出している。顧客のニーズにフィットさせるには4Pが必要であるとか。
しかし、マーケティングを学ぼうと思って本書を手に取ることはあまりオススメはできない。
マーケティングの本というよりは、どちらかと言えば、少し自己啓発に近いエッセイのような本かもしれない。だが、そう思われることをこの著者は嫌うだろう。本書の中で以下のように述べているからだ。

実はこの本を書きはじめたとき、私が嫌いだった自己啓発書のような内容であった。
「私はブスでもできた。あなたもがんばれ」
名前の顔も出さずに出版する予定だったくせに、取り繕った自分の成功体験ばかりを並べていた。

そこに夫からのトドメの一言。

赤裸々に書かなければ説得力がないと俺も思う

こうして本名も顔も明かすことにして、処女喪失、過去の恋愛、性体験や合コンについてなど、もうなんでもかんでも書かれている一冊が出来上がった。

そして、これがもう無茶苦茶面白い。普通の一般人の半生が、そこらの著名人の半生よりも魅力的でお茶目で笑えて、見た目のコンプレックスなんて屁でもないように思えてしまうのだ。

それにしても、ブスをマーケティング戦略に組み込むという発想が面白い。面白いというよりは、頭が良い!と思ってしまうのは私だけだろうか。

本を読んでいても行動に移せる人とそうでない人がいる。
その違いは一体何だろう。

おそらく、前者は世の中の全てが学びだと思っていて、後者は学びという定義が狭く、学んだ知識はせいぜい学校の試験や会社の仕事でしか役に立たないと思っていることにあるのではないか。

この本の著者は間違いなく前者の人間だ。
おそらくブスということに気づいた時から、経験する全てが、学習と実践という人生につながったのだろう。

さて、あなたにもコンプレックスはあるだろうか。あるとすれば、改善はしないとはなから放置はしていないだろうか。
学びの定義を広げてみよう。そうすれば著者のように自分らしい人生を歩むことができるはずだ。

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koya
読書歴10年。書評歴3年。本は読んでいるだけではダメです。 知識はアウトプットしてこそはじめて血肉となります。 私は読書歴10年ほどで、現在は毎月平均して10冊程度の本を読んでいます。 私がこの10年間で培ってきた読書のノウハウや考えは、きっと皆さんの役に立つと思っています。 目標は「他人が読まない本を手に取る読書家を増やすこと」です。
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