【書評】『細菌が人をつくる』自分の腸内細菌は他人と90%違う。細菌を知ることは自分自身を知るということ。

本書では、人間と共生しているさまざまな細菌(以下、常在細菌)についての最新研究が紹介されています。

私たちに共生している常在細菌は、過食症、肥満傾向、そしてうつ病や自閉症などの脳の病気にも関係しているという研究が報告されています。

本書を読むことで、日頃の食事と健康への意識にとどまらず、人間であるとはどういうことか、その定義すら改めて考えさせられるでしょう。

10兆個ある人間の細胞より10倍も多い常在細菌の大コミュニティが、私たちの健康と病気(腸疾患、肥満、アレルギー、喘息、うつ病)、気分や行動の鍵を握っているのです。

ー目次ー
①帝王切開の子供は病気になりやすい!?
②なぜ自らの常在細菌を知る必要があるのか?
③脳と腸の関係
④まさに細菌が人をつくる

①帝王切開の子供は病気になりやすい!?

私たちが最初に細菌に出会うのは、おそらく生まれるときです。

人はみな、母親の産道を通って生まれて来るときに初めて多くの常在細菌に出会います。

母親の産道には、膣内細菌がびっしりと並んでおり、生まれてくる赤ちゃんをコーティングするのです。

もしあなたが帝王切開による出産により生まれてきたのであれば、そうではない人に比べて、肥満、食物アレルギー、そしてアトピー性皮膚炎の発症率が高いです。

しかし、あなた自身、もしくはあなたの子供が帝王切開で生まれたのだとしても慌てないでほしい。
実際のところ、結局何も問題ないというケースがほとんどのようです。

このように常在細菌は我々に多くの健康をもたらします。

本書では、あなたが自然分娩なのか帝王切開なのかに関わらず、医療や食事長男・長女かどうか性的パートナーが何人いるかまで、私たちの命のほとんどすべての局面で常在細菌が密接に関わっていることがわかるでしょう。

②なぜ自らの常在細菌を知る必要があるのか?

自らの常在細菌を知ることはどういう意味をもつでしょうか?

先述した通り、私たちは10兆個の細胞からできていますが、それに比べて、体の内外に存在する細菌の細胞は100兆個も存在します。

私たちはそんな細菌たちから多大な影響を受けています。

さらに、自分の腸内細菌は他の人の腸内細菌とわずか10%しか共通していません

つまり、細菌を知ることは「自分自身を知る」ということに他ならないのです。

また、健康な人の細菌群集についても、そのすべてが似ているわけではありません。

新しい研究では、ヒスパニック、アフリカ系アメリカ人、アジア系など、人種が違えば細菌群集も大きく異なることがわかっています。

③脳と腸の関係

細菌と脳とのあいだの様々な相互作用は、まとめて「腸脳相関」と呼ばれています。

この関係を理解することで、ヒトの神経障害と神経系をより深く理解することができます。

たとえば、現在、うつ病は炎症反応を伴うことが知られていますが、それに対して、有益な腸内細菌の多くが生産する酪酸のような短鎖脂肪酸は、腸内の細胞に栄養を与え、炎症を抑制する効果を持ちます。

また、自閉症の患者においても、健康な人間と腸内細菌が異なっていることが報告されています。

私たちの腸内細菌は、私たちの行動や考え方にも影響を与えるのです。

細菌群集を操作することで、心理に与えられる影響については、人間においてもたいへん有望視されています。

わかりやすいところで言えば、食生活を変えると気分も変わるというのは、誰もが経験があると思います。

食生活を変えれば細菌群集も変わるので、細菌が気分の変化の一要因になっている可能性は十分にありえるでしょう。

④まさに細菌が人をつくる

ほんの10年前までは、1人分の常在細菌をチェックしようと思ったら100億円もかかりました。
しかし、現在では1万円ほどで調べることが可能です。
それほど、この分野は日進月歩で進んでいます。
本書は、細菌の最新知識を得ることができ、なおかつ腸内で共存する細菌たちの大切さを感じられる一冊です。

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