【書評】『差別はたいてい悪意のない人がする』

本日紹介する本は、『差別はたいてい悪意のない人がする』です。

韓国で16万部のベストセラー


本書は、韓国で16万部も売れたという差別に関する本です。
韓国といえば、熾烈な受験戦争、芸能人の自殺、政治スキャンダルなど、隣国であるにも関わらず、日本人の我々とは違う感性を持つ国というイメージがあります。
その韓国で差別に関する本が、ベストセラーになったなんて、興味深くないわけがありません。

差別といったときに皆さんは何を思い浮かべますか?
黒人、LGBTへの差別を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。
この本は、そのような政治問題になるような差別ではなくて、日常にありふれた差別について書かれた本です。

社員のネックストラップの色を変えるのは差別か?

たとえば、社員証のネックストラップの色を正社員と派遣社員で分けることは差別なのでしょうか。
私の会社でも、正社員は青色、派遣社員は赤色のネックストラップを付けています。
では、なぜネックストラップの色を正社員と派遣社員で分けるのでしょうか?

本書では、こうした正社員と派遣社員を区別する根底には、能力主義という考えが存在すると言っています。
能力主義とは、才能と努力によって人はだれでも成功できるという信念のことです。
この能力主義のもとでは、いま社会的地位が低いのはこれまで最善を尽くさなかった結果である、という考え方をします。
つまり、正社員と派遣社員を区分して待遇も変えるというのも、各々の行動の結果、そうなっているのだという考え方です。

ただ、この能力主義という考えにより、ネックストラップの色までも分けてしまうのは、一見無茶苦茶なようにも思えます。
しかし、ほんとうにそうでしょうか?
例えば、正社員は、日々仕事の中で自分で考え行動しなければなりません。
一方、派遣社員は、正社員から指示された仕事をこなすだけです。
正社員は大変なのだから、派遣社員より良い待遇を受けて当然だと思う人が出てきてもおかしくはありません。
そう思っていることを自覚していなくても、派遣社員より給与などの待遇が良いこと、そしてネックストラップの色で区別することなど、なんの疑問もなくそうしたことを受け入れている我々は、すでに能力主義という考えにどっぷり使っているのかもしれません。
本書では、そういったことを読者に問いています。

差別は世の中にありふれている

女性の参政権はもう100年も前に認められ、同性愛者の結婚も多くの国で認められていて、世の中は、少しずつ良くなっているはずです。
しかし、現実の世の中では、上司はパワハラ・セクハラに怯え、SNSはしょっちゅう炎上し、政治家は国民に萎縮しています。
では、なぜこんなにも窮屈な世の中なのでしょうか?
それは、差別を口にする人間が、自分が差別する側に回るなんてことを思ってもいないからです。
しかし、本書を読めば、差別というのはとても身近で、誰しもが差別をする側になり得るということがわかるでしょう。
自分もいつ差別する側になるかわからないという認識を持てば、窮屈な世の中も少しは窮屈じゃなくなるかもしれません。
本書は、「差別」を自分には関係ないと思っている人こそ読んでほしい、そんな本です。

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