【書評】『まなの本棚』天才子役の成功の秘訣

2004年6月23日生まれ。5歳で出演した「Mother」で脚光を浴び、2011年に出演した「マルモのおきて」ではドラマ初主演を務める。第34回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。2013年には映画「パシフィック・リム」でハリウッドデビューも果たす。

これでもかと煌びやかな経歴が並ぶのは、みなさんご存知の芦田愛菜ちゃんです。
実は、そんな愛菜ちゃんは、「何が欲しい?」と言われれば、真っ先に「本が欲しい!」と答えるくらい本が好きで、中学校の課題の本を読みながら、自分の好きな小説を2〜3冊、それに図鑑をパラパラめくってみたりと、常に3〜4冊を同時並行して読んでいるほどの大の読書家なのです。

愛菜の本棚

本書は、絵本、小説、エッセイ、サイエンス、日本文学など、愛菜ちゃんがこれまで幅広く読んできた本の中から、90冊近くの本の内容と感想を愛菜ちゃん本人が解説する本です。
途中、IPS細胞の研究者である山中伸弥教授や、作家の辻村深月さんとの対談も挟み、丸ごと一冊本に関する内容となっています。

愛菜ちゃんの凄さ

先述の通り、今では日本を代表する女優になった愛菜ちゃんですが、女優になる前から好きだったのが、読書だそうです。
読む本のバリエーションにも驚かされますが、本の解説も非常にわかりやすく、勘所を抑えているといった感じで、まだ中学生ということを考えると頭が上がりません
例えば、芥川龍之介や泉鏡花、島崎藤村といった日本文学について語る場面では、以下のように日本文学を形容しています。

日本人は奥ゆかしさを尊重する文化で、はっきりとわかりやすい表現だけではなくて、裏に隠された感情をくみとって大切にしようというところがありますよね。

読む人によっては感じ方が異なり、作者によって好き嫌いが分かれるのが日本文学ですが、この「裏に隠された感情」を読みとるのは、非常に難しい。
だからこそ、日本文学というのは面白くもあり難しくもあるのですが、若干15歳の女の子がそこを面白がっているのは非常に感心します。

太宰治と芥川龍之介はどっちが好き?

また日本文学ではよくある、太宰治と芥川龍之介はどっちが好き?問題は、愛菜ちゃんは芥川龍之介が好きなようです。

「人生に悩んでいる感じ」や「途方に暮れている感じ」が太宰好きな方にはたまらないんだと思いますが、私は、言いたいことをスパッと切り取って物語にまとめてしまう芥川が好きです。

たしかに、太宰作品は、『人間失格』に代表されるように作品に太宰自身が絡むと、そういったイメージの作品になりがちですが、太宰自身がまったく作品に絡まないと、すごく上質でキレイな物語を書いていたりもします(走れメロスなんかもそうです)。
ぜひとも、太宰治の人間の弱みやドロドロした感情を描いた作品だけではなくて、そういった太宰のキレイな物語を、愛菜ちゃんにも読んで欲しいと思ってしまいました(笑)

友達想いな愛菜ちゃん

また、本書には愛菜ちゃんの私生活、とりわけ友達想いな一面がふんだんに登場します。

私自身、「この友達に出会わなかったら、私はこういうふうにはなっていなかったかもしれない」と思うことがあります。出会う時間も場所も人も、無限に可能性がある中で、その人とそこで出会えたこと。それって、やっぱり運命ですよね

本書を読む前は、他の子役出身で大成した芸能人同様に、そういった色眼鏡で愛菜ちゃんを見ていた私なのですが、読後は、愛菜ちゃんに対するイメージが一変しました(私の勝手な偏見でした)。

早熟の天才

でもやっぱり他の子供と違うんだなという一面も垣間見えます。
作家の辻村さんと対談し、どんな大人に魅力を感じる?と逆に質問された愛菜ちゃんの回答が印象的でした。

上から押しつけるんじゃなくて、「一緒に楽しもう」とか「一緒にやり遂げよう」とか、同じ目線に立って子供たちのことを理解しようとしてくれる人、かもしれません。「大人だから」とか「子供だから」じゃなくて、同じ「人間」として向き合ってくださっているなと感じると、私もそういう大人になりたいなって思うんです。

5歳で出演した「Mother」で一躍脚光を浴びてからというものの、「まだ○歳なのに‥」「子供なのに‥」と何千・何万回と言われてきたことでしょう。
上記の一言が出てくるあたりは、やっぱり早熟な子供ならではの経験があるからなのかなと思ったりしました。

読書で得られるもの

中学受験では、難関な中学校への入学を果たしたとニュースになっていました。
天才子役に難関中学受験の突破と、そんな子供が他の友達とうまくやっていけるのかと思っていましたが、彼女は彼女なりに周りから学んで私たちの想像を超えるくらいに立派に成長していたようです。
読書で得られる知識というのは、すぐに役立つようなものではありません。
ですが、必ず自分の血肉に、そして哲学になっています。
愛菜ちゃんには、これからも読書を続けて欲しいと思いました。
そして私も好きな読書を続けて、いつか彼女と対等に本について語り合いたいと、そう思いました。

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