『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』作業服専門店がユニクロを超える!?

新型コロナウイルスの流行により、飲食・観光業への打撃は大きく報道され、各店舗は休業を余儀なくされた。
そうした影響は、アパレルをはじめとする小売業にも降りかかっていることは言うまでもないだろう。

一方で、ニトリなどはこのコロナ禍にあっても増収増益を果たしているそうだ。
ユニクロも、一度は売上減になったものの、「ユニクロとはじめるおうちスタイル」と銘打った新たな戦略が、再びお客の心を掴み始めている。

そんな中で、北関東のある作業服専門店が同じように増収増益を果たしていることは驚きであろう。

その企業とはワークマンだ。

19年10月、消費税率が8%から10%に引き下げられた。ワークマンは真っ先に「価格据え置き」を宣言し、実質値下げに動いた。既存店売上高は20年3月まで17カ月連続で前年比2桁成長を継続。20年3月期のチェーン全店売上高は1220億円と、創業以来、初めて1000億円の大台に乗った。

ワークマンが特質すべきなのは、売り上げだけではない。

ワークマンの国内店舗数は、2020年5月末で869まで拡大し、あのユニクロを抜き去る勢いだという。

まさに、大躍進を遂げているワークマンであるが、なぜこれほどまでに急成長を遂げることができたのか。

本書は、そんなワークマン大躍進の影の仕掛け人である土屋哲雄専務が明かした、アパレル史上に残る大革命の全貌だ。

―目次―
① ワークマンプラスの成功
② 
ワークマン流データ経営
③ 
両利きの経営

①ワークマンプラスの成功

ワークマンがこれほどまでに急成長を遂げられたのには訳がある。

それはライバル企業が多いこのアパレル業界で、ワークマンは競合不在のブルーオーシャンとも呼べる市場で戦うことができたからだ。

ワークマンが見つけた市場とは、低価格かつ高機能を両立させたブランド市場である。

ワークマンは1980年から一貫して、「職人の店」をコンセプトに職人用の作業服のみを扱ってきた。

だからこそ、耐久性や防水、はっ水などの機能性にかけては、ユニクロやニトリといったライバルから大きく差別化が図れる。

ワークマンがこうした自身の潜在能力の大きさに気づいたのは、2018年に新業態「ワークマンプラス」を世に送り出した時である。

ワークマンプラスとは、これまでの「職人の店」というイメージから脱皮し、新たに一般向けのアウトドアショップとしての一歩を踏み出すための施策として生まれた。

ただ、このワークマンプラスの実態は、既存の店舗で扱っている商品の中から一般受けしそうな商品をセレクトし、店内の商品の配置や見せ方を工夫しただけに過ぎないものだった。

しかし、この商品を変えずに売り方を変えただけとも呼べるやり方で、ワークマンプラスの売上高は既存の店舗の平均の2倍を達成した。

このワークマンプラスの成功が、急成長の起爆剤となったのである。

②ワークマン流データ経営

一方で、短期間で急成長を遂げるには、それだけの効率経営が求められる。

徹底した在庫管理、適切な発注、正確な売り上げ予測といったことができていなければ、これほどまでの急成長に社内が耐えられるはずがない。

本書には、この大躍進の裏には、ワークマンが「データ経営」への変身を遂げられたことも大きな要因だとある。

そんなワークマンがデータ分析に使っているソフトは、どんな会社でもごく普通に使われているマイクロソフトのExcelだ

データ経営と言いながら、Excelというのは何とも拍子抜けしてしまうが、これにもちゃんと訳がある。

ワークマンのデータ活用の原則は『広く浅く』。知識が浅い分を衆知という広さで補う。皆で考えて進化させていく。AIのようなスーパーパワーではなく、普通の人の知恵を集めて経営していくのが理想。それなら、むしろエクセルのほうがいい

まずは社員のデータリテラシーの向上が先決で、その後、十分な人材が揃ったら何億もかけてAIを導入する意味が出てくると土屋氏は語っている。

さらには、社員に勉強してもらう代わりに5年で年収を100万円ベースアップすると約束し、見事にそれを実現させた。

まさにアメとムチの手法が功を成し、見事にデータ経営企業への変身を遂げたという訳だ。

③両利きの経営

両利きの経営という言葉がある。

企業が長期的な生き残りを賭けて、既存事業を深掘りする能力と新規事業を探索する能力を同時に追求することのできる組織能力の獲得を目指す経営を意味している。

ここでいう組織能力とは新しい「仕事のやり方」を指している。

つまりは、自分たちの強みを棚卸しした上で、「深掘り」と「探索」という相矛盾する能力を同時に追求することのできる新しい「仕事のやり方」を習得することで、はじめて企業は変化に対応することができるのだ。

ワークマンは、低価格かつ高機能性という自らの強みを利用し、データ経営という新しい仕事のやり方を習得することで、変化に対応した企業と呼べるだろう。

新型コロナも終息しつつあるが、コロナを経験したことにより、私たちには新しい生活様式が求められるだろう。

そんな中、私たちがワークマンから学べることは多い。

本書には、ワークマンはなぜ強いのか、その答えが惜し気もなく書かれている。

両利きの経営について興味がある方はこちらも本もオススメです。
私の書評はこちら

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koya
読書歴10年。書評歴3年。本は読んでいるだけではダメです。 知識はアウトプットしてこそはじめて血肉となります。 私は読書歴10年ほどで、現在は毎月平均して10冊程度の本を読んでいます。 私がこの10年間で培ってきた読書のノウハウや考えは、きっと皆さんの役に立つと思っています。 目標は「他人が読まない本を手に取る読書家を増やすこと」です。
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