【書評】『いきもののカタチ』

本書の前作『波紋と螺旋とフィボナッチ』は読みましたか?
一見複雑で神秘的な生き物の形が、実はごくシンプルなルールで理解できることを解き明かし、各紙誌書評で絶賛されたと言います。
本書では、前作のテーマをさらに深化させ、多彩な生物の形や模様の謎に迫っています
子供だましなテーマが多いですが、ガッツリ生物学の話も多くあるので、幅広い読者を満足させること間違いなしです。

幼虫を瞬間冷凍、頭部を切り取って観察…

子供のとき、カブトムシが好きだった人は多いと思います。
夏休みの間にカブトムシの幼虫を育てて成虫になるまで見届けた、なんて人も多いのではないでしょうか。
本書では、このカブトムシの角がどのようにして作られているかを解説しています。
そんな夏休みの自由研究みたいな内容なの?と思った人がいるかも知れませんが、心配ご無用です。
著者は、成虫になる過程の幼虫をいくつも用意して、瞬間冷凍し、頭部を切り取り、角の作成過程をつぶさに観察しており、そんな小学生はまずいないでしょうから。
真似したい方は、いまでは幼虫が500円で購入可能です。

カブトムシの角ができるまでには、だいたい100分程度時間がかかります。
角はクチクラと呼ばれる、糖鎖とタンパク質からなる重合体でできていて、最初は柔らかいが、固まって非常に固くなります。
角ができる様は、まさに風船を膨らませるようなものです。
カブトムシは、自らの腹部から頭部へ圧力を加えて、まだ柔らかい状態の角を膨らませることで、あの見事な角を完成させます。
本書によれば、角の形は前駆体の時点で作られており、カブトムシは折りたたんだ状態ですでに完成形を作っているというのですから、見事としかいいようがありません。
本書では、どのようにしてそれが成されているのかまで、書かれています。

非常に合理的なカタチ

本書の内容としては、カブトムシの角から迷路のような模様をした魚まで、タイトル通り、いきもののカタチをめぐる不思議さがテーマです。
そのようなカタチは、物理的な要因や環境要因により、非常に合理的にできており、読者を唸らせます
本書には、かなり専門的な内容も盛り込まれているはずですが、面白いと感じさせる文章は、さすが著者と言わんばかりです。
生き物に興味があって子供のような好奇心がある大人におすすめの本です。

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